第31章 たたかい。
「さっき見事に当てられてたじゃん。」
『うっさいクロ。』
5時限目が終わり、机に突っ伏しながらスマホをいじってるとクロが声をかけてきた。
「現国の尾崎、出席番号が今日の日付で当てんじゃん?珍しく指名だったからなー。」
『いや、まあ…色々とあって…』
そのときタイミングよくスマホが鳴る。
『お!メッセージ届いた。』
クロを無視してスマホを覗く。
灰羽:授業中に目、合いましたよね?
灰羽:俺のこと見ててくれたんですか?
灰羽:だったら嬉しいな!
灰羽:今日一緒に帰りましょー?
返す前にどんどん溜まっていくメッセージ。
リエーフらしいけど…さすがに今日帰るのは…
私は急いでメッセージを打ち返す。
美優:今日先帰ってるよ?カツ揚げるの時間かかるし。
返事を返しほっと息を吐くとすかさず返信が返ってくる。
灰羽:えー!いっしょに帰りたい!
おーい、私受験生。数日後に試験控えてる身だって…
美優:無理。部活終わったら家来ていいから。
一息つく間も無くスタンプ。寂しい顔のウサギ。
くそ…かわいい…
もう…
美優:じゃあ図書館で勉強してる。
灰羽:体育館で見ててほしいな?俺、頑張るから!
…これ私が何を言っても引かないパターンですね?
メッセージを打ち込もうとして、指を止める。
『クロー、今日差し入れないけどバレー部行っていい?』
「別にいいんじゃね。またリエーフか?」
『うん。カツ丼食べたいから一緒にに帰るって言われた。』
私の返答にクロは吹き出しぶひゃひゃと笑う。
「カツ丼かよ…縁起担いでカツ丼食う前にレシーブ練しろってな。」
『同感。』
クロのぶひゃひゃ笑いを聞きながら私はOKのスタンプをポンと画面に打ち出した。