第31章 たたかい。
5時限目。つまらない現国の授業が続く。
そういえばリエーフは体育だったっけと教科書に隠れて外を見ればグラウンドを走り回るジャージの集団がいた。その中にひときわ大きい人影が軽やかにボールを追いかけていた。
すごく楽しそう。
太陽の光が当たった髪の毛はキラキラ光ってる。
身長高いけどそのせいで猫背なんだよね…
なんでも屈まないと入れないって言ってたな…
そういえばうちに入る時に頭ぶつけてたことあったな。
あ、変なとこ飛ばした。
ボールこっちの方に来てるみたい。
リエーフがグラウンドから後者に向かってボールを追いかけて走る。
追いついて、ボールを取る。
顔を上げたとき、エメラルドグリーンがこちらを見た。
目があった瞬間、リエーフは驚いたような、嬉しいような顔をしてブンブンと手を振った。
途端に恥ずかしくなり赤くなる頬。
顔をそらすために黒板の方を向けば、丁度誰かに教科書を読ませようと視線を彷徨わせていた先生と目があう。
「じゃあ、椎名。89ページ、11行目から読んで。」
『…はい……』
私は立ち上がり指定された行を読み始めた。
あー、もう面倒…
リエーフのせいだ。