第29章 Resulting in Punishment
彼氏にされるお姫様抱っこ。女の子が1度は夢見るシチュエーション。
それなのに、どうして私はお姫様抱っこをされながら手首を拘束されているんでしょうか?
「手にこれ、つけちゃいますね?」
リエーフに言われ手首につけられたのはジョークグッズの手錠。リエーフが歩くたびに手錠の鎖がしゃらしゃらと鳴る。
部屋に到着するとリエーフは器用に私の部屋の扉を開け、優しく私をベッドに降ろした。
「美優さん。これ、付けるね?」
そう言って差し出されたのは真っ黒な正方形の柔らかそうな布。それを器用に折ると、リエーフは私の目元を隠すようにその布で目隠しをした。視界が真っ暗になる瞬間、ふと見えたリエーフの表情は期待と欲望に満ちた瞳を私に向けていた。
視覚が閉ざされた世界ってこんなに不安なんだ。すぐ近くにリエーフがいるのにものすごく不安になる。
『リエーフ?』
不安で名前を呼べばしんとする室内。
なんか…怖い。
『リエーフ…?』
何度呼んでも返事はおろか物音もしない。1人取り残されたような感覚に不安でいっぱいになる。
『ねえ…リエーフ?返事して?』
『リエーフ?』
『リエーフ…』
リエーフ…いない?
『怖いよ…リエーフ…』
闇と静寂に1人。
不安と恐怖でじわりと涙が滲む。
涙は目の前の黒い布に染み込んでいった。