第28章 音駒高校文化祭2日目!
午後4時。学園祭終了の合図が鳴る。
他校の生徒や保護者がぞろぞろと帰る中、私は教室にいた。
「ノルマ達成!完売しましたー!」
教室には歓喜の声。私が2日かけて作ったスイーツ達はすべて完売!
売り上げは相当なものになった。
その後の閉会式で伝えられたクラスの出し物の人気投票はなんと1位!周りのみんなと抱き合って喜んだ。
閉会式を終えると、私達はクラスに戻った。教室でも歓喜の声があちらこちらから響く。
「おら、ホームルームはじめるぞー。」
マサちゃんが教室に入ってきて声がけをすると、すっかり復元された教室の自分の席に座る。
「まずは文化祭お疲れさん。あと校内1位おめでとーさん。」
周りからはセンセー軽いなんて言われてからかわれてるマサちゃん。
「おら、静かにしろって。いや、さ、ガラじゃねーんだけどよ、俺さー、1人褒めたい奴がいんだわ。」
周りはざわざわと騒ぎ出し、マサちゃんから2度目の静止の言葉をくらう。
「そいつさー、最初っから最後までクソってほど働いて、寝る時間も少なかっただろうに、それでも楽しそうにしてたんだわ。今回一番がんばってたやつ…椎名、お前だよ。」
ぼーっと話を聞いていたタイミングで名前を呼ばれ、変な声が出た。
「椎名、こっち出てこい。」
マサちゃんがそう言うから私は席から立ち上がり教卓まで歩く。
「俺もだけどみんな頼りっぱなしだったよなってな。ほらいくぞー、せーの。」
「「「美優(さん)ありがとう!」」」
「お菓子マジでうまかった!」
「唐揚げとだし巻きも!」
「ガトーショコラありがと!」
「またお菓子作り教えてね?」
ワイワイとみんなが私に賛辞を述べる中、一番近くで見ていてくれていたクロと千景が話しかけにくる。
「ホント、お疲れさん。美優。」
「メイクで顔色まで隠して…ほんっと無理しすぎだってーの。」
ぽんぽんと2人に頭をなでられ一気に力が抜けた。みんなの顔がぼやける。
やったことは無駄じゃなかった。
疲労の中の充実感。
やったことが形になって戻ってくる。
これほど嬉しいことはあるだろうか。
千景にメイクとれるよって茶化されたけどそんなことどうでもよかった。
嬉しくて、ただ泣いた。
泣きつかれるまで泣いた。