第28章 音駒高校文化祭2日目!
さっきまでの雰囲気を払拭させるようにリエーフは一度息を深く吐きにこりと笑う。
「じゃあ仕事戻りましょうか?」
終わった後への期待もあるが、まずは文化祭。私達はお互いの教室に戻る。リエーフに空き時間なら客引きのお手伝いを頼もうとしたが、ちょうど自分のクラスの受付の順番の時間らしいので、お互いの休憩時間にまた会う約束をした。
私に割り振られた時間は午後から1時まで。その間はきちんとメイドを勤め上げる。
お店の売り上げも好評。
あれだけ作った洋菓子たちはどんどん売れていく。ラストまで残るかな…なんて心配になる程お菓子の在庫は減っていた。
後30分で交代の時間。
そんな時、再びあいつは現れた。
「すいません、椎名さんまだいますか?…っていますね。」
客引きを他の子に任せ在庫の確認をしていれば、聞き覚えのある声がして裏から顔を出す。
『赤葦…何しに来たの。』
「美優さんと少しだけ話がしたくて。」
そういうと、赤葦はお店…教室に入ってきた。
「主人が帰ってきたのにろくな挨拶もないなんて…再教育が必要ですかね?」
冗談なのか本気なのかわからない言葉をほのめかし私の手を取る。
『ご主人、おいたが過ぎますよ?』
ピシャリと手を叩くと赤葦は苦笑して言葉を続けた。
「美優さんの作ったお菓子が食べたかっただけですよ。」
そう言って赤葦は笑う。
『じゃあ在庫確認したら向かうから座って待ってて?ご主人様。』