第28章 音駒高校文化祭2日目!
「ハイハイ、そこまで。」
不意にかけられる声。
「黒尾さん。野暮ですよ…」
「文句言うなって、赤葦。番犬が来てるんだから。」
クロが指差す入り口を振り返ると、そこには昨日の狼リエーフが入り口ですごい顔をしていた。いつもの人懐っこい笑顔とは正反対。
睨みを利かせてこちら…赤葦を見ている。
私は手を引こうとした…が、それは叶わない。
掴まれていた手はなぜかそのまま引き寄せられ赤葦は私の手の甲に軽く唇を触れさせた。
『赤葦⁈』
「あかーし!何してんの⁉︎」
「ほぉ?」
私と木兎は驚き、クロは感心したような顔をする。
当の赤葦は私に視線を送るとニヤリと笑う。
「このまま、奪いたくなる…」
「赤葦さん…?」
不意に掴まれた腕。横を見ればリエーフ。いつもより低い声。鋭い目つき。
今にも赤葦に噛みつきそうなリエーフが私の腕を引いていた。
「美優さん、離してください。」
「男の嫉妬は醜いよ?灰羽。」
「じゃあ、赤葦さんが手を離せばいいじゃないですか。」
バチバチと火花を飛び散らせる2人。
周りも何事かとこちらを見ている。
やばいな…これじゃあ店の売り上げに関わる。
しょうがない…恥ずかしいけどやるしかないか…
息を吸ってー吐いてー
よし、やるか…
『ご主人様…?』
私は2人の手を掴み少し甘えたような声を出す。その声音に気づいたのか2人は私の方を見た。よし、注意はひけた。
あとは…私はその場にしゃがみ込む。
『喧嘩はやめてください。美優、困っちゃいます。』
すねるような口調。甘えたように2人を交互に下から見つめる。その時にすこーしだけ両腕で胸をよせるのを忘れない。
「美優さん…」
「それやばいですね。」
2人を一発で落ち着かせるために行ったこの行動。それは2人以上に”あいつ”をノックアウトさせてしまった。
「うっわ、木兎!鼻血!」
クロの声で木兎を見ると木兎の鼻から鮮血が…
私は裏方にいるクラスメイトからポケットティッシュを貰い、木兎に渡した。
幸いにもすぐに鼻血は止まったけど…鼻血が止まった木兎に話を聞いたら、「美優がエロくてやばかった。」だって…
木兎のおばか。