第28章 音駒高校文化祭2日目!
「お!黒尾!美優!久しぶりだなー!」
グレーのブレザーに青のネクタイ。白いシャツに黒のパンツ。それらを着崩した木兎が廊下の奥からこちらに手を振る。
「煩いですよ。木兎さん…」
きっちり着こなす優等生スタイル赤葦がため息をつきながら木兎の隣を歩く。
来てしまった…
クロは面白がっておかえりなさいませーなんて言うから私もやらなきゃいけない雰囲気…
『…恥ずかしいんですけど』
「それがいいんじゃないですか。」
「ドSだねー。まあ、確かにいいよね。」
「わかります?」
『赤葦、千景、2人で意気投合するんじゃないの…』
私は深呼吸すると作ったようなセリフを言いながらスカートの裾を軽く持ち上げた。
『お…おかえりなさいませ。 ご主人様。お客様は長く滞在していかれますか?それともすぐにまたお仕事に向かわれてしまいますか?み…美優は、少しでも長く…ご主人様と一緒にいたいです。』
私は照れながらも全てをいい終わらせる。
「滞在で」
「もう一声。」
『赤葦…これ以上何を…』
赤葦は至極当然とばかりにポロリと本音を漏らす。
「ああ、これで手錠とか縄とかあったら喜んでお相『趣旨が変わってる。アウト。』
「残念…」
客寄せをやっくんと千景に任せ、私とクロは2人の給仕にまわる。
クロが木兎を連れて行ったので必然的に赤葦の隣を歩く。そんな時ぼそりと赤葦が呟いたのを私は聞き逃さなかった。
「美優さんのメイド、エロくていいですね。俺が主人だったら悪戯し放題ですよ?」
『赤葦…下ネタやめて。』
「上から見える谷間もきわどいラインの太ももも、綺麗な肩甲骨も、全部悪戯したいですね。」
だめだ赤葦…真面目なお坊ちゃんかと思ったらとんだ変態だった。
「本当はその細い腕を縛り上げて昼間には言えないようなことしたいんですが、美優さんには忠犬がついてるんでやめておきます。」
忠犬…
『リエーフのこと?』
私は椅子を引き、赤葦を座らせると含みのある笑みを浮かべ、私に向かって話し出した。
「灰羽…あいつ普段はそこまで頭良くなさそうに見えますけど、本当はかなり賢いですよ?」
そうなんだよね。リエーフってしょーよーとかとテンション変わらないからおバカっぽいけど、実は頭は切れる。
そうじゃなきゃ私、リエーフに救われてない。