第27章 音駒高校文化祭1日目!
ざわざわ…周りの人達がざわつく。
そりゃそうだ。
リエーフが花道から外れ私の方に向かって来てるんだから。先輩である私のクラスのメンバーをかき分け、向かってくるリエーフ。
リエーフは私の目の前に立つとしゃがみ、私に片手を差し出した。
「お手をどうぞ?お嬢様?」
周りがしんと静まる。
ああもう。やることなすことサプライズばっかり。
自分の心臓の音がうるさい。
にこりと笑うリエーフが格好良くて、私は渋々リエーフの手を取った。
「あ、これつけてくださいね?」
そう言われつけられたのは大きめの垂れ気味のウサギの耳。ちゃんとうさ耳がついたことを確認したリエーフは、小声で失礼しますと呟くと私を横抱き…お姫様抱っこをした。
そのまま私はリエーフに抱かれながらステージに登る。周りには何一つ伝えていなかったようでステージの2人は深くため息を吐いているのが見えた。リエーフに付き合わせて申し訳ない…
「あれー?狼くんはウサギさんを捕まえてきちゃったみたいですねー?」
なんて司会の人がフォローを入れてくれる。マイクを向けられたリエーフはにへらっと笑ってマイクで喋る。
「はいー。この人俺専用なんで、ちょっかいかけたら噛みつきに行きますよ?」
がおーなんて言い、私を抱きながらポーズをとるリエーフ。
背中に冷やかしの声が刺さる。
ああ…心臓に悪い…
横にいた芝山くんと犬岡くんも苦笑い。
「ありがとうございましたー!」
大勢の拍手に見送られ壇上から降りる。
『リエーフの馬鹿…』
クラスのみんなのところに戻りながら小声でつぶやくと、リエーフはクスリと笑う。
「でもこれで全校公認ですよ?美優さんは俺のものです。誰にも渡しませんよ?」
ただ周りに見せつけたいだけじゃなく、牽制だったのか。
完敗です。私、リエーフには勝てません。