第26章 文化祭、問題発生⁈
「美優さん…ダメですっ。」
わたしの振り上げた拳は大きな手で掴まれていた。上を見ると悲しそうな顔をしたエメラルドグリーンの瞳と目があう。
『リ…エフ…』
リエーフは私の手を離すと、3人組に向かって自分の携帯の画面を見せる。そこには3人が私のジャージを踏んでいる姿。その前で立ちすくむ私の動画が撮られていた。
「これ、先生に報告します。」
「は?何言ってんの?」
「これだけ証拠があるんです。きっと先生はあなた達より美優さんの味方でしょうね。」
睨む3人組に淡々とリエーフが話をする。
「先輩だかなんだか知りませんが美優さん悲しませるやつは誰だって許さない。」
リエーフはいつもより低い声でぽつりと呟いた。
「あんた達…死ねばいいのに。」
それを聞いた3人は急に怯えたような声をあげ、ばたばたとどこかに逃げ出していった。
リエーフは地面に落ちてぐちゃぐちゃになったジャージを拾い上げる。
「遅くなってごめん美優さん。これ持って職員室行こう?」
『ん…』
ぽんぽんと頭の上に手が置かれる。
「ごめんね?あんな奴らのために美優さんに怪我してほしくなくて…」
『ん…ありがとっ…』
出そうになる涙を堪えてリエーフを見ればそっと頭をなでられる。
「泣いていいんだよ?美優さん。」
優しい声でリエーフが言うから、私の目から涙が溢れて止まらなくなった。
『んっ…』
悔しい…
悔しい…
嫌がらせしたいなら直接くればいいのに…
すごく大事にしていたのに。
みんなと一緒だって『仲間』だって思えて嬉しかったの。
悔しい思いとリエーフが来てくれた安心感で私はリエーフにすがりつきながら子供のようにわんわん泣き叫んだ。