第24章 green with envy
「お風呂ありがとうございます。」
ほかほかとあったまったリエーフがお風呂から戻ってくる。
『おかえり。じゃあ私も入ってこなきゃね。』
私がキッチンにいることを不思議に思ったらしいリエーフは私の手を覗き込む。
「何作ってるんですか?」
『朝、作り損ねたおいなりさん。そろそろリエーフお腹空いてるかなって』
「やった!」
前日、漬け込んでいた油揚げ。
朝、時間がなくておいなりさんにできなかったので夜食がてら作ってみた。今日は、ご飯にみょうがを刻んだものと白ゴマを混ぜたご飯をおあげに詰める。あとはニラが余ってたから、ニラを刻んで卵を溶いてニラ玉スープ。
最後のおいなりさんを包み終え、リエーフの目の前のお皿に乗せる。
『はいどうぞ?』
「いただきます!」
リエーフは両手を合わせると私から箸を受け取りぱくりとおいなりさんを頬張った。
「んんっ!んまっ!」
おいなりさんが2つ、3つとリエーフの口の中に消えていく。私も…とおいなりさんを1つ口の中に含んだ時、私のスマホがぴろんと鳴り、メッセージを映し出した。キッチンの作業台に立てかけておいたため、私より先にリエーフが画面を確認した。
「ツッキーから…どうしたの?」
『家に着いた後、撮った写メ送ってくれてるの。うっ、蛍…こんなのまで撮って…』
「なになに?見せてよ美優さん!」
画面を見ようとするリエーフに見えないようにと咄嗟に画面を隠す。
「…え?」
『あ…いや、リエーフでもこの写真見せるのは恥ずかしいなって。
えっと…私も色々撮ったんだよ?クロと木兎の髪の毛ぺしゃんこの写真とか、プールの時の写真とか。』
「そういえば、上野公園でツッキーと何話したんですか?」
『あぁ、あれは…ちょっとね…』
あははと眉を八の字にして笑う。リエーフにはあんまり聞かれたくないかなぁ…
『ほら、お昼にケーキ食べてた時に蛍のほっぺにクリームついてた時の写真!こんな蛍の顔珍しくて撮っちゃった。」
スマホの写真フォルダから目的の写真を出し、リエーフに見せる。
急に腕を引っ張られ私はキッチンの柱に抑え込まれた。
私の手から離れたスマホがカシャンと音を立て、床に落ちた。