第22章 Just be staring into your eyes
『ってなわけ…』
とりあえず私はなんとかベッドから這い出て服を身につけ、赤葦を追いかけた。で、朝食を作りながら状況説明…ってわけ。
赤葦の手には、モーニングコーヒー。飲みながらちょこちょこ手伝いをしてくれてるのがありがたい。
ちなみにリビングのふたりはまだまだ夢の中。私の部屋にいた2人は仲良く同じベッドで二度寝をしている。
「で、大丈夫なんですか?体の調子は。」
『うん。大丈夫っぽい。これ味見して?』
出来上がったばかりの肉そぼろを少しスプーンに乗せて赤葦に渡す。口に含んだ赤葦はスプーンを私に返しつつ感想を述べる。
「うん、ちょうど良い味付け。食べやすいですよ?」
『良かった。』
器に盛りつけると、私は出し巻き卵の準備を始める。卵を割りいれ、小口切りにした小ネギを入れる。白だしを目見当で入れてかき混ぜていると、コーヒーを飲んでいた赤葦が私の名前を呼ぶ。
『どしたの?赤葦。コーヒーおかわりいる?』
卵液が入ったボウルを調理台に置き赤葦に近づく。赤葦は近づいてきた私に手を伸ばしたかと思ったら私を腕の中に閉じ込めた。
『赤葦っ!「京治…って呼んでくれないんですか?」
『顔…近「近づけてるんですけど…?』
「だって邪魔が入らないこういう時くらいしか美優さんに甘えられないじゃないですか…」
たまにしかみせない赤葦の笑顔がレア過ぎて、そっと頭を撫でた。
「名前で呼んで…?」
『京…治』
不意に唇にふにっとした感触。
京治との初めてのキスはブラックコーヒーの味がした。