• テキストサイズ

あいつはねこまのわんこ系少年【HQ】

第22章 Just be staring into your eyes



ガチャリと遠くからドアの開く音。我に返った私は赤葦の胸を押した。
赤葦は人差し指を自分の唇に当てる。まるで今の情事は秘密だというかのように。

「お前ら早いなー。美優、朝飯なに?」

キッチンに顔を出したのはクロ。朝から髪型が仕上がっている。

『今日は、出し巻き卵と肉そぼろ、ほうれん草のおひたしとおからの煮物…あと、豆腐とわかめのお味噌汁作って鮭焼こうかなって。』
「さんまじゃねーのがアレだけど朝から魚!やりい!」

顔洗ってくるなんて言いながらクロは洗面所に歩いていく。その後ろ姿を見ながら赤葦がぼそりと呟いた。

「凄いですね…動揺が顔に出ない。」
『赤葦…なにが言いたいの…さっきのだって…』

小言を言おうとするが、唇に赤葦の人差し指が当たれば口を噤むしかない。

「たまには俺も、男だって意識してほしいな…なんて」

妖しげに嗤う赤葦。無理やり目をそらせばククッと笑い声が聞こえる。

「油断…しないでくださいね?美優さんを狙っているのは1年2人だけじゃないんですから。」

それ以上は何も言えなかった。
言えないままクロが帰ってきたから。
そのあとは朝ごはんを作るのに集中。
できた頃を見計らって起きていない3人を起こし、朝ごはんを食べた。
胸にモヤモヤを抱えながら。
/ 617ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp