第21章 まだまだ夏休みは終わらない!〜第3体育館組、集合〜
side月島
本人が怖くないって言ったから特に気にせず中に入った。 僕的にはそこまで怖くはないんだけど後ろをついてくる美優さんは少しのことにびくびくと怯えてる。お化け役の人が出てきた瞬間、僕の後ろから「ひっ!」っという声が聞こえたと思ったらぐん、と後ろに引っ張られる。
僕のカーディガンを、美優さんが引っ張っていた。
『あ…ごめん…』
ぱっと手を離したけど、顔は怖がったままだ。
「はい…」
僕は腕を差し出す。
「怖いんだったら捕まってていいデスよ?」
プライドが邪魔をするのか、躊躇していたようだが恐怖には抗えなかったようで、おずおずと僕の腕に自分の腕を絡める美優さん。
そのまま進んでいけば。わかりやすい仕掛けにびくびくする美優さん。びっくりするたびに僕の腕に抱きついてくる。
本人は気づいてないのかもしれないけど、胸、当たってる。あと、ワンピースの胸元むちゃくちゃ谷間見えてるからネ?
無防備にもほどがある。
からかってみたくなってそっと耳に息を吹きかけると小さな悲鳴をあげながら体をビクつかせたかと思えばこっちを睨む。睨むって言っても目は涙目、体は震えてるからチワワみたいで全く怖くない。
逆に食べてやろうかって感じ。
あと少しで出口ってとこでふわっと風が吹き、弱々しく叫んだ美優さんが腕に抱きつく。
さっきの水着姿だったり、今の弱った顔見たら我慢できないよね?
とりあえず空いてる手で頭を撫でる。
『けい…』
僕の顔を見た瞬間、隙を見て唇にキスを落とした。
真っ青になって泣きそうな顔は一気に真っ赤になる。
『蛍…』
「あーあ、隙ありすぎ。僕だって男なんですよ?」
涙で潤んだ目元を指でなぞる。
「そんな顔で見られたら我慢できなくなります。」
目元に唇を落とすと、困ったような顔でこっちを見てくる美優さんの瞳。
「ちゃんと意識してくださいね?僕も男だってこと。」
手を差し出すとそっと小さな手を掌にのせてくる。
その手をぎゅっと握ると、すぐそこにある出口に向かって歩き出した。