第18章 家に着くまでが合宿です。
炊飯器を開けると、ほかほかの湯気とともに美味しそうな香りが立ち込める。ご飯はうまく炊きあがっているみたいだ。キッチンから私はリエーフに叫ぶ。
『ご飯できたよー。そっちで食べよー。』
はーいと返事が聞こえたかと思うとパタパタとスリッパの音が近づく。
「お手伝いしますよ?」
にこにこ。笑うリエーフ。
『じゃあ、これ、持ってって?』
洗ったコップとお茶のペットボトル。それを持ってリビングに歩いて行ったのを見計らって盛り付けをする。戻ってきたリエーフに、出来上がったおかずの乗ったおぼんを渡せば、素直に持って行ってくれるので、私は次の工程。いっぱい食べるリエーフのためにお客様の棚から小さめのどんぶりを出すとご飯をよそう。自分の分も茶碗によそったタイミングでリエーフが戻ってきたのでご飯茶碗をお盆に置いた。
リエーフに「まて」をさせ、スープを盛り付けてお盆に置くとGOサインを出し、置きにいってもらう。リエーフがリビングに向かったのを見送り冷蔵庫のデザートの確認をすると、箸を2膳掴み、私もリビングに向かった。
今日のご飯は、トマトの炊き込み御飯、鶏胸肉のみぞれ煮、葉物野菜のおひたし、ほうれん草とニラと卵入りの中華風春雨スープ。
一通り並べ終わるとリエーフはうずうずしながらご飯を待つ。
『おかわりあるから足りなかったら言ってね?じゃあ、どうぞ。』
「いっただっきまーす‼︎」
元気に挨拶するとリエーフは1つ1つをじっくり味わうように食べていく。にこにこの表情からは味の感想がにじみ出ている。
この表情が見たくて私、調理師になりたいって思ったんだよなぁ。
そう思いながら私も箸を取り、食事を取り始めた。