第18章 家に着くまでが合宿です。
あとはデザートが冷えるのとご飯が炊けるのを待つだけ。そういえばやけに静か。いつも1人だから少し忘れそうになってたけど、今日はリエーフいるんだった。
『リエーフ?ご飯もうすぐ…』
リビングに入った瞬間、私は口を噤んだ。決して大きくないソファ。そこにリエーフは体を預け眠っていた。
合宿頑張ったもんね?
音を立てないようにそっとソファの前に移動する。
無防備な寝顔。こんなにまじまじと顔を見たのは初めてかもしれない。ソファの前に座りリエーフの頬にかかる髪の毛をそっと耳にかけてあげるとむずむずしたのか顔をしかめる。
『リエーフ…?』
ぐっすり寝ているみたいで私がかけた声に反応はない。
ちょっとだけ…
私はそっと顔を近づけ、リエーフの唇に自分のそれを近づけ…触れ…ようとしたんだけど…
恥ずかしくて、触れる前に顔を離し俯く。
いっぱい触れてもらえるのに、自分から触れたいって思うのって贅沢…なのかな……
「してくれないんですか…?」
え?うそ。
声に驚き勢いよく顔を上げると眠たそうな目でこちらを見るリエーフと目が合う。
『起きて…たの?』
「寝てましたよ?美優さんの指が顔を撫でるまで。」
あの時か。恥ずかしくて心臓が痛いくらい鳴ってる。
『わたしっ…ご飯見てくるっ「美優さん!」
逃げようとした私は腕を引かれ、リエーフの胸の中にダイブする。
「美優さんから…ちゅーしてくれないの…?」
ずるい
ずるいずるい
そんな聞き方されたら嫌だなんて言えなくなる。
「美優さん?」
『目…瞑って?』
目を瞑るように促すとにこにこと顔を緩ませながら目を閉じるリエーフ。
そっと、リエーフの肩に手を置く。
20㎝…10㎝…5㎝…
吐息を感じるくらい顔を近づけるとそっと唇をリエーフの形のいい唇に押し当てた。顔を離せばリエーフの瞳がゆっくりと開いていく。
「美優さんこーゆーこと慣れてないし…いっか?」
私のキスにご機嫌なリエーフ。恥ずかしくて顔を上げれない私。
ふと、遠くから聞こえたピーピーという機械音がご飯の炊き上がりを知らせる。
『ご飯炊けたから見てくる。』
「いってらっしゃい。美優さん。」
リエーフから降りてキッチンに向かう。
調子が狂う。ドキドキしすぎて心臓壊れる。