第1章 わんことの出会い。
千景と話をしていると私の中華丼と自分の頼んだ食事を持ったリエーフが戻ってきた。
『おかえり。お疲れ様!』
「これくらいヨユーですよ!いただきまーす!」
リエーフはちゃっかり私の隣に座ると大盛りのきつねうどんを食べ始めた。
きつねうどんの隣には…おいなりさん?
『なんでおいなりさん?』
確かにサイドメニューにあったはずだが、ほかにもおにぎりやパン、その他ご飯物は多々あるはずだ。
なぜあえておいなりさんを選んだのか。
リエーフはすぐに喋ろうとするが口の中にうどんが入っているためうまくしゃべれない。
とりあえず口の中の物を飲み込ませてから話をもう一度振った。
「おいなりさん大好物なんです!」
そう答えながら、リエーフはこちらを向き自信満々な笑みを向ける。
ドヤ顔だ。
リエーフがドヤ顔してる。
その顔を見た千景はツボに入ったのかお腹を抱えて笑っている。
日本人離れした外国人の顔立ちで好物がおいなりさん。
なんだこのギャップ。
『リエーフ…かわい……』
思わず口から言葉と笑みを溢れさせるとリエーフは頬を膨らませた。
「俺…かわいくないですよ。美優さんのほうが可愛い。」
そういいながらリエーフはどこに隠し持っていたのか、私の目の前にプリンを差し出した。
「今日の弁当のお礼です!弁当うまかったっす!」
本当にころころ表情が変わる。
私は視線を外すと嬉しさと気恥ずかしさで染まる頬を手のひらで覆う。
『ありがと…』
キラキラと輝く柔らかな視線が、素敵で、ちょっぴり辛かった。