第17章 夏合宿、最終日。
あらかた食事が終わりマネージャー達と話をしていたら飲み物が欲しくなり、歩き回っていると、一部が騒がしい。正直今はあまり近づきたくないけど私が欲しているお茶が1番騒がしいところのど真ん中にある…
いくしかないか…
「全国で5本の指!すげぇぇぇ!」
翔陽に褒められ木兎がむちゃくちゃ喜んでる。でもクロが横から割って入って、「でもお前らんとこのウシワカは3本の指に入ってくるやつだぜ。」っていってニヤリと笑ってる。お茶も欲しいし話の内容も気になりだした私は、話をしていたクロ達に近づく。
ウシワカって誰?
そんな私の疑問は無視され話はどんどん進んでいく。
「3本⁉︎」
「オイ!そんなこと言ったら俺が霞んじゃうじゃねーか!」
『しょーがないじゃん5本の指なんだから。』
「美優のばかぁ!こうたろうちゃんもう知らない。」
木兎は頬を膨らませぷーんとそっぽを向いた。
『うん可愛い可愛い。』
申し訳ないけどこのノリに付き合う気はさらさらないから棒読みでの返答。リエーフは口の中に食べ物を突っ込むだけ突っ込んで喋り始める。
「3本ってことはあと2人いるってことすか?」
『リエーフ、口のもの飲み込んでから話する!でも、気になる。クロ?』
クロは待ってましたとばかりににやりと笑って説明を始めた。
「東北のウシワカ、関東のサクサ、九州のキリュウ、これが今年の全国高校3大エース」
「そのうちの一人がよりによって宮城に…」
蛍がお茶を飲みながらため息をつく。そのため息を聞いた木兎が蛍に絡む。蛍の眉間のシワが深い。
「うぉーいツッキー!俺のスパイク相手に散々練習したのにウシワカにビビるなんて許さん!」
「ツッキーってやめてもらっていいですか?」
それを横目で見つつクロは話を進める。
「それにエースがトップ3だからってチームもトップ3ってわけじゃねーぞ!」
「そーだそーだ!」
「まぁサクサのいる井闥山(いたちやま)は優勝候補筆頭だけどな」
そう呟くクロはこいつとは当たりたくない。そんな顔をしていた。