第17章 夏合宿、最終日。
『どうする…この食料達。』
目の前にはお皿にこんもりと盛られた肉、野菜、おにぎり達。
「リエーフにあげれば。」
「あとは日向と王様。」
と、自分のチームの大食い自慢の名前を挙げていく2人。
『でも私達がもらったんだから少しは消費した方が…』
一応箸をかまえてみるが量の多さに気持ちが萎える。
「おれ、無理だから。」
そう言いけんまは携帯のゲームに集中し始めた。
けんまの裏切り者!
恐る恐る蛍を見ると、何を考えたのか少しだけニヤリと笑う。
おもむろにお肉を1枚掴むと左手で私の両頬を掴む。
「はい、どうぞ?」
『ふぇい!ひょれひゃーひゅひにはいひゃないでひょ⁈(けい、それじゃー口に入らないでしょ⁈)』
「何言ってるかワカリマセーン。」
そういうと蛍は左手を離す。
「じゃあ大人しく口開けてよ。」
お腹はそこそこいっぱい。
でも目の前には肉を持った蛍。
食べないときっと地の果てまで追いかけてくる。
こいつはきっとそれをやる男だ。
仕方なく私は肉を食べるため口を開ける。
大きく開けた口に肉片がヒョイっと入っていく。
『やっぱお肉おいしい…』
「じゃあもう一枚いっとく?」
『行きません。』
「そっかー。残念。」
蛍はくすりと笑うと周りをキョロキョロしだした。
蛍は少し離れたところで肉が焼けるのを待っているリエーフに近づく。蛍に話しかけられたリエーフは目をきらきらさせながら蛍の後を追うようにしてこっちに近づいてきた。
この2人いつの間に仲良くなったんだ?
「にーくー!美優さん!肉どこですかー?」
『リエーフ、これー。食べれそう?』
そういうとリエーフは笑いながら主にお肉を次々に口に入れていく。私も横から野菜をつまむ。
蛍は野菜…いや、玉ねぎだけをちまちま食べている。理由を聞いたら甘いから。この子どんだけ甘いもの好きなの。
このあと、翔陽が来てくれて沢山あった野菜やら肉は2人のおかげで綺麗さっぱり無くなった。