第1章 わんことの出会い。
ぐううううううっ
隠れてため息を吐いた瞬間突然聞こえた音。
それはリエーフのお腹から聞こえた。
鳴らした本人は恥ずかしそうに笑う。
『リエーフ。朝ご飯は?』
そう聞くとリエーフはえへへと笑いながら私の問いに答える。
「食べてきました。でも朝練するといつも腹減っちゃって…」
いつもは買ってくるんですけど今日は時間なくて…とリエーフが笑う。私は鞄を漁ると朝自分で握ってきたおにぎりを差し出す。
自分のお昼ご飯だけど、うちの学校購買もあるし…
もし足りなかったら学食に買いに行けばいいや。
『おにぎり…食べる?』
リエーフの目の前におにぎりを出すとリエーフはキラキラとした目をして私を見る。
「いいんすか?」
『お腹空いてたら授業集中できないでしょ?食べな?』
「やった!いただきます!」
私がOKサインを出すとよほどお腹が空いていたのか2つあったわかめおにぎりはすぐにリエーフの口の中に消えていった。
「この塩加減絶妙っす!」
『足りそう?足りなかったらおかずあげよっか?』
「いや…」
流石にリエーフも人の昼食奪うのには抵抗があったらしい。
でもリエーフ、よだれ出てる…
私はお弁当箱を取り出すとふたを開ける。
その中からアスパラの肉巻きを出すとリエーフの口の前に差し出した。
『口開けて?』
リエーフは私の言葉に従い口を開ける。
その口めがけて私はアスパラの肉巻きを箸で摘んで放り込んだ。次は出し巻き卵。その次はほうれん草のごま和え。
次々におかずを口の中に放り込むとリエーフは顔を緩ませて食べる。いつの間にか私のお弁当は空っぽになり、リエーフは満足そうに笑みを浮かべる。
『美味しかった?』
「んまかったっす!ってあれ?美優さんの弁当空っぽ?」
今頃気づいたらしくおろおろしながら私の方を見ているリエーフに私は微笑みながら頭を撫でた。
『美味しそうに食べてくれたからいいよ。お昼は学食行くから大丈夫。』
それでも自分のしでかしたことに落ち込むリエーフ。
この落ち込んでいる後輩のテンションはどうやったら戻るかな。
少し悩むと私はリエーフに問いかけた。
『じゃあ、こういうのはどう?』