第16章 合宿 Last Night
side月島
真っ暗な校舎を僕は部屋に向かって歩く。
烏野の部屋は端のほうにあるから戻るの面倒。
それに、部屋に戻ったら日向と王様のいびきとか歯ぎしりとかで結局眠れないし…
憂鬱…
そんな時、先に部屋に戻った、本来なら聞こえるはずない声が後ろから聞こえた。
「月島。」
嗚呼、獅子が挑発につられてやってきた。
僕は後ろを振り向き、獅子を視界に捉える。
いつも嫌ってほど笑顔を振りまいてる忠犬が、今はただ、静か。
「何?僕もう眠いんだけど。」
さて、灰羽は何を仕掛けてくるのか。
「さっきも言ったけど…美優さんは渡さないから。」
「へえ、自信満々ダネ?そんなに渡したくないんだ。」
「そりゃあね。3ヶ月…3ヶ月ずっと気持ち伝えてやっと付き合えたんだからね。」
灰羽は壁に背を預けるようにして座った。
「一目惚れだった。ファーストタッチでこの人じゃなきゃダメだって思った。何度も何度も気持ち伝えて、少しずつ俺のこと伝えて…やっとここまで来たんだ。誰にも渡せない。渡したくない。」
へえ?
こいつ…以外と頭良い?
まぁ、考えたことがすぐに口から出ることの方が多いみたいだケド。
それでも今、次に僕が言うことを必死に読もうとしている。
面白い。
「僕が横から奪い取ったら君はどうするんだろうね?」
僕はにやり、と挑発するように笑う。
さあ、灰羽。
お前はどう返す?