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あいつはねこまのわんこ系少年【HQ】

第16章 合宿 Last Night


side灰羽

「僕が横から奪い取ったら君はどうするんだろうね?」

目の前の烏はにやりと笑う。
挑発…だろうな。
俺は月島みたいに回りくどい言い方はできない。
それでも、言わなきゃ。
言わなきゃいけない。
荒ぶる気持ちを押さえるように息を呑むと相手の目を見据えた。

「奪われたら…奪い返すよ。何回でも何十回でも気持ちを伝える。
きっと俺はそれしかできない。月島みたいに挑発とかできないし?」

俺が月島を見ながらそう言えば、月島は信じられないものを見るような顔をして僕を見た。

「なにそれ…僕にはムリ…よくそんな小っ恥ずかしいことできるね…」
「俺は月島みたいに裏を読みながら挑発したりすんの苦手だし。」

俺は黒尾さんばりのフフン顔を月島に見せつける。

「…っくくっ。キミ、その顔似合わない…」

げっ、笑われた。

「なにやってんだろうな、俺達。」
「同感。」

2人でひとしきり笑えば、俺の中にあったもやもやは飛んでいってた。

「月島…ツッキーってなんか良いな。」
「ツッキーって呼ぶのやめて…」
「俺、ツッキーには負けないから。」
「僕も、隙があったら奪うから。」

お互い、にやりと笑うとお互いの寝床に向かい歩きだす。

大丈夫。
あいつなら大丈夫。

試合でも恋でも、きっと良いライバルになれそうな気がしたから。

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