第16章 合宿 Last Night
ずしりと背中に重みが加わる。
『みぎゃっ!』
「捕まえた」
色気のない私の叫び声とは真逆の色っぽい声が耳元で囁かれ、私の体は一瞬でこわばる。
「月島!重い!」
「あ、いたの?灰羽。」
「いたの?じゃないよ‼︎美優さんに乗らないでよ!ツッキー!」
「ツッキーって呼ぶのやめて…」
『私挟んで喧嘩するのやめて。』
この様をクロと木兎遠くから傍観してる。
「青春ってヤツだな…」
「だな。」
『にやにや顔やめて。クロ。木兎も。』
2人に挟まれたまま、身動きが取れない私を見守る3人。見守るなら助けて。
「戦線布告…ってやつ?しておこうかなって思って。」
蛍はそう呟きながらクロ達に見えない左側の手でそっと喉元をくすぐる。
『何言ってんの…蛍、止めて。』
リエーフの目の前でやめて。
目の前に見えるのは大好きな人。
でも、私に触れているのは、蛍。
「僕、欲しいものは何が何でも手に入れたい……だから美優さん、僕に頂戴?」
私の耳に舌をはわせ蛍はそういった。