第16章 合宿 Last Night
「そういやさー、音駒って学祭いつ?」
木兎の問いかけで学園祭のことを思い出す。なんでこのタイミングでネタにした、なんて思っていれば、クロがスマホのカレンダーを覗きながら日付を確認する。
「9月の連休。確か金曜は校内だけで土曜が一般公開だったっけ?美優。」
『そうだよ。梟谷は?』
私が木兎に問えば、きょとんとしたのち、赤葦の顔を覗く木兎。
「あかーしー。いつだっけ?」
「確か11月の頭…だったはずです。」
「黒尾のクラス何やんの?」
木兎に聞かれたクロはにやりと笑い嬉しそうに答えた。
「うちは執事&メイド喫茶。」
だよな、美優チャン?とクロはわざとらしく私に笑う。
『やりたくない…』
「美優さんもしかしてメイドっすか!」
そう。私は毎年通り張り切って裏方の調理部門を仕切ってたから今年もそのつもりだった。
『なんでじゃんけんで決めるのよ…』
そう、女子はメイド服を着たい人がほとんどいなかったためじゃんけんをする羽目になり、残念ながら負けてしまったのだ。
「俺のシフトもお前と一緒の前半戦だ。ビシビシしごいてやるから覚悟しろよ?」
『クロが執事とかこの世の終わりかって思うわ。執事って柄じゃないわー。』
「もてなす側っていうよりもてなされる側っぽいですね。」
「言ったな!ツッキー!お前来たらぜってーもてなしてやっからな!」
クロたちはわいわい騒ぎ始めた。
ほんっと楽しそう。
蛍が嫌そうな顔してるけど。