第15章 夏合宿5日目。
結局食堂が閉まるギリギリまで練習をしていた私達。食堂のおばちゃんからは「またあんたたちが最後かい。」なんて笑われる始末。
『今日で最後だから許して。』
なんて笑うと、おばちゃんは手招きをしてくる。
「女の子なのに男子に1人混ざって毎日大変だったね?これ、お駄賃!」
そう言っておばちゃんはプリンを渡してくれた。お礼を言い、席に戻る。
「あ!美優さんプリン!」
『貰ったの。リエーフにはあげない。』
「いーなー!甘いもん食いてー!」
『合宿帰ったらいっぱい食べなさいよ。』
よだれを垂らさんばかりに見つめる木兎を無視して食事を始めればクロがぽつりと呟いた。
「明日で合宿も終わりだな。」
『そうだねー。』
「このメンバーで食事するのも最後ですね。」
赤葦が呟いた言葉に思わず箸が止まった。
最後…そっか…
明日は自主練も自主練後に騒ぎながらご飯を食べることもないんだ。
『楽しかったな…』
「しんみりすんなって。またみんなで集まりゃーいーだろ?」
私の頭をわしゃわしゃと撫でながらクロが言う。その声を聞き木兎までが喋り出した。
「そうそう!夏休みなんだしさ、どっか遊びにいこーぜ‼︎」
「いーっすねー!」
乗り気のリエーフ。隣でぽつりと蛍が呟いた。
「僕と日向は宮城なので距離ありますけどね。」
『そっかぁ…』
「こっち来る用事あったら連絡してよ。予定合わせて会いに行くから。」
「…ハイ。」
なーんで蛍さんは赤葦には従順なのかなぁ…なんて思っていると蛍の肩にガシッと木兎の腕がまわる。
「やっぱツッキーいねーとなー。あとチビちゃんもな。」
「もが?もががが?」
翔陽は口いっぱいに食事を頬張る。お腹空いてるのはわかるけどすこしは周りの話聞こうね?