第15章 夏合宿5日目。
自主練だからってみんなは手を抜かない。いつでもボールを追いかけてる。
木兎のスパイクはキレッキレだし、それに対抗するための壁、リエーフと蛍の壁は高い。クロもうまく1年2人を動かす。赤葦のトスもいつも通り綺麗に上がる。
赤葦が落ちそうになったボールを飛び込んで上げた。お、木兎がネット付近にボール上げた。
翔陽打つのか…
って!
クロ、蛍、リエーフ3人でブロックとか…打つ場所なくない?絶対無理…
そう思っていた私。
でも翔陽は果敢にスパイクを打った。
高い壁の上、ボールはリエーフの指先にあたり、コート外に飛んでいく。今のスパイクの反動で翔陽は床に落ちた。
『翔陽大丈夫⁈』
心配する私をよそに翔陽は、勢いよく起き上がる。
「へいき!」
「…今の、狙ったのか?見事なブロックアウトじゃねーか!」
みんなが驚いた顔で翔陽をみてる。
『今のってそんなにすごいの…?』
私が質問すると木兎がハイテンションで答える。
「普通スパイクって下に打つんだぜ‼︎でも日向は今、上に向かって打った!」
『で、翔陽、今の狙ったの?』
「あっ!確かにリエーフの手の先っちょ狙ったけど…」
「何っ⁉︎」
『リエーフ狙われたねー。』
「うっ…悔しい…」
「でも当たったのはマグレです。俺そんなに正確に打てない…」
すこし照れたような顔をした翔陽の横から手が伸び、顔を上下に挟まれる。木兎が楽しそうな顔をしながら挟んだ手で翔陽の顔をシェイクする。
「”190㎝のブロック×3枚”だぞ‼︎‼︎しかもあんな打ちづらいトス‼︎
よく打った‼︎俺は感動した!」
『木兎うるさい。』
テンションの上がった木兎は止まることを知らない。
「2mの壁を相手に戦う小さな猛者に‼︎俺が‼︎」
「また大げさな…」と、ため息まじりに赤葦。
「190㎝から2mになった…」こちらもため息まじりにクロ。
『うるさい…』
「必殺技を授けよう‼︎‼︎」
「必殺技‼︎‼︎」
2人のテンションについていけなくて置いてきぼりの私、クロ、蛍、赤葦。リエーフは羨ましそうにみてる。
「秘密の特訓、開始だ‼︎」