第15章 夏合宿5日目。
何かがふわりと私にかぶさる。薄く目を開けるといつの間にか試合は中断され、目の前にはエメラルドグリーンの瞳。
「美優さん、眠かったら部屋まで送りますよ?」
『ううん…だいじょーぶ。』
少し眠ったらすっきりした。思いっきり伸びをすると肩にかけられた大きなジャージが床に落ちる。
『ジャージ…リエーフの?』
「ほとんど使ってないから汗臭くはないと思います。使ってください。」
ふわりと香るリエーフの香り。安心する。
『おっきいね。リエーフのジャージ。』
「美優さんがちっちゃいんですよ。」
『ちっちゃいっていうな。』
私達は顔を見合わせて笑えば頭上でクロの声がする。ドリンクを飲みながらクロが蛍に向かって指導しつつリエーフにも声をかけた。
「リエーフも一応聞いとけよー。俺がちゃんと指導するなんてレアなんだからなー。」
『ほら言っといで?ちゃんと見てるから。』
私がぽんぽんと肩をたたくとリエーフは私の頭を撫で、クロの話を聞きに行った。クロは自分のチームの2人にちゃんとアドバイスをしている。
私はリエーフに借りたジャージを羽織り、そのアドバイスに耳を傾けた。