第14章 夏合宿4日目、夜。
マネージャー用の部屋に着替えを取りに行き、その足でお風呂に向かう。服を脱ぎ鏡を見ると胸元やお腹には無数の赤い痕が残っている。
改めて見ると恥ずかしい。
赤く着いた痕が目に入らないようささっと髪と体を洗い、湯船に浸かった。
ゆっくりすると思い出すさっきのこと。
リエーフに求められるのは嬉しい。
でも求められることに慣れてないから。
こんなに幸せで、後でしっぺ返しくらうんじゃないかって思ってしまう。
それに、
『嫌だ』とか『怖い』って否定を伝えたら
両親みたいにいなくなってしまいそうで
コワイ。
それじゃあいけないのもわかってる。
それでもあの時向けられた『瞳』は
怖くてたまらないあの眼は、私の心をずっと縛り付けている。
あんな、畜生を見るような目で見られるのはもう嫌だ。
私は勢いよくお風呂から出る。
お湯を抜き、脱衣所に向かう。
なかなかトラウマからは抜け出せない。口から漏れたため息は、お風呂の湯気に溶けていった。