第1章 わんことの出会い。
きらきらの瞳で見つめられる。
きらっきらのグリーンの瞳で…
誰か助けて。
迫るリエーフに戸惑いを覚え助け舟を求めて周りを見渡せば、けんまはゲームしてるしクロは口に手を当ててにやにやしてるし…これ、完全に味方がいない感じですね…
腹くくって答えろと…?
私はため息をつくとその場に立ち止まる。
私の後ろにいたリエーフも必然的に止まる。
こちらを覗き込むリエーフの顔を見上げると、逸らしたくなる目を合わせてこくっ、と息を呑んだ。
『 さっき言ったけど私、リエーフと今日初めて会ったから、リエーフのこと何も知らないし…っ!だからとりあえず今は先輩後輩!今から少しずつリエーフの事知っていくから。」
そう言い切り瞳が合えばその純粋な瞳に思わず赤面し視線を逸らす。先輩後輩の関係も悪くない、でも初めて会った時の胸の高鳴りを思い出し、言葉を付け足した。
『リエーフのこと知って…そしてレギュラーになったら少しは考えてあげる。』
リエーフは私の言葉を聞いた途端またにかりと笑った。そして、私をぎゅっと抱きしめたんだ。
「やった!俺レギュラーになれるように頑張る‼︎」
『ちょっと!リエーフ!離してー‼︎』
急な抱擁に叫ぶ私を無視し、リエーフは私をぎゅうぎゅうに抱きしめる。
「やっぱり美優さん抱きごこちサイコーっすね!腕の中に収まるの可愛い!」
正面から強く抱きしめられてしまえばリエーフの体で周りが見えなくなってしまう。
見えるのはリエーフが着ているベストの黒。
ふわふわな感触と爽やかな香りに包まれる。
リエーフの体温があったかいからかものすごく心地よくて、抵抗することを忘れそう。頬を擦り寄せそうになるのを我慢しながら上を向くとリエーフのエメラルドグリーンの瞳と目があう。
『リエーフ…離して?』
「なんでですか?」
『恥ずかしい…』
「俺は恥ずかしくないですよ?」
リエーフが恥ずかしくなくても私が恥ずかしいんだってば…
目の前の胸板をグイグイ押して抵抗しても離してくれそうにないリエーフに諦めて身体の力を抜けば、私を抱きしめてご機嫌とばかりに鼻歌まで歌う。
ここ公道。
公の道。
夜も更けてきているから人通りは少ないにしても人目にはつく。ってかクロとけんまいるし。絶対見てるし。
早く離してくれないかな…
恥ずかしい…