第1章 わんことの出会い。
私から話を聞いたクロは納得したように頷きながら私に再確認をする。
「あー…そういうこと…リエーフに告白されたけど好き嫌い以前にどんな奴かもわからないから1回出かければ少しは何かわかるかも…って押し切られたってことな?」
『うん…』
ずいぶんと省略したな、クロ。でも的確すぎて何も言えない…
「言ってやれば?買い物。」
クロはからりと笑いながら軽く答える。
『クロ?なに言ってんのあんた。』
今説明したじゃん。
今日会ったばっかりだって。
どんな人なのかもわからないって。
きっと不満そうな顔をしていたのだろう。だからさぁ、とクロは話を続ける。
「デートじゃなくて買い物だろ?だったらいいじゃねえか。俺たちとも行ってたし。つかさ、ついでにバレー部の買い出し行ってきてくんね?ゴールデンウイーク俺ら遠征なんだわ。」
『なんでよ。私バレー部じゃないし…』
「見張り役だっての。リエーフだけに頼んだら何かしら書い忘れそうだしな。遠征いかない奴に頼むつもりだったけど丁度いいわ。そのうちリエーフにメモ渡すからよろしくなー。」
あれ?バレー部遠征ってことはリエーフも遠征いくんじゃないの?
そう思いながら質問すれば、けんまはゲームをしながら答えてくれた。っていうか毎回思うけどよくゲームしながら歩けるね?
「今回はベンチ入りメンバーだけ…リエーフへたくそだからレギュラーでもないし…」
まぁ、さっきの試合見てたけど…やっくんが言っていた通り、本当に手にボールが当たらない。それ以前にタイミングが合わない。
それでもジャンプ力は高いしボールが飛んできたときの反射力は抜群。良いところを伸ばしていったら強くなるんじゃないかな、なんてバレー未経験者だけど音駒のバレー部を数年見て来たからそう思う。
ちらりとリエーフを見ると下手くそと言われたからかあからさまに落ち込んでる。私は後ろを振り向き、私の後ろを歩くリエーフに話しかけた。
『リエーフはバレー始めて間もないんだから仕方ないでしょ?今は下手っぴかもだけど頑張ればレギュラーになれるかもよ?』
そう、私が言えば落ち込んでいたリエーフの顔はあっという間に笑顔になった。
「じゃあ美優さん!俺がレギュラー入りしたら俺の彼女になってください‼︎」
なんだこの突然の公開告白。