第14章 夏合宿4日目、夜。
「冗談でもそういうの嫌です。」
リエーフは席から立ち上がると少し離れた場所にいた私の手を掴み出口に向かう。
『リエーフ…食器…』
「俺、片付けておきますよ。」
『ごめん…赤葦。』
リエーフは私の腕を引っ張り廊下を進んでいく。
『リエーフ…?』
リエーフが前に進む歩幅が広くていつの間にか小走りになる。
リエーフは入ったこともない空き教室の扉を開け、私を押し込んだ。足がもつれて座りこんでしまった私の前に立つリエーフは逆光で顔が見えない。
『リエーフ…』
「嫌です…」
私の前にしゃがんだリエーフ。私の上に乗りかかるように迫ってくる。
じりじりと迫るリエーフ。
その雰囲気が強くて私も少しずつ後退する。
とんっと背中が壁に当たった。
もう、逃げられない。
『リエーフ…』
「本当はキスだけじゃ嫌だ…最初は好きになってもらえればよかった。でも、好きになってもらったら今まで以上にずっと一緒にいたくなった。一緒にいたら触れたくなった。触れたらキスしたくなった。キスしたらもっと先まで進みたくなった。」
溢れる言葉に思わず息を呑む。
「好きだから他の人といるのは嫉妬するし、他の人に美優さん好きって言われたら俺のって言いたくなる。美優さんは俺のって印が欲しい…」
リエーフは顔を真っ赤にしながら思いの丈を口に出す。
その顔は真剣そのもので、まっすぐ私だけを見ている。
『いいよ』