第13章 夏合宿4日目。
昼食を食べ、みんなはまた練習。3時には冷え冷えに冷やしておいたいろんな味の寒天をみんなに振る舞った。デザートは好評ですぐに完売。すごいスピードでなくなっていった。
今はみんなが食べた器の洗い物中。
今日はほとんど試合見れてないなぁ…
急いで試合を観に行かなきゃと思いながらも洗い物に集中できずのろのろと手を動かす。
考えるのは蛍のこと。
恋愛感情はない。それは断言できる。
それでも話をしているのは楽しい。
気が合うから話がはずむ。
でもたまに見せるギャップにドキドキする。
どうしたらいいのか…
悩みすぎて今日何回目かわからないため息をついた。
「またため息。どーしたんですか?美優さん?」
背後からいるはずのない声がして振り返る。
なんでここにいるの?
『リエーフ…?』
「なんか心配になっちゃって…きちゃいました。」
『試合…』
「今は試合ない時間です。トイレって嘘ついてきました。」
リエーフの後ろから射す光がやけに眩しくて、私はなぜか涙が止まらなくなった。
「美優さん⁈」
『ごめ…なんか安心して…』
涙を拭こうと手を目元に持っていくけど手が泡だらけで慌てて水を出し手を洗った。その間にリエーフは隣に来てくれて頭を撫でてくれる。近くに置いていたタオルで手を拭くとリエーフは横から抱きしめてくれた。
「どうしたんですか?」
『なんか、どうしたらいいかわからなくて…』
次から次へと涙が浮かぶ。
そんな私を落ち着かせるようにぽんぽんと背中を叩く。
『リエーフのこと…すごい…すきなの。』
「俺も美優さん好きですよ?」
『でも、他の人に色々…言われるたびにどうしたらいいかわかんなくなって…』
「もしかして月島と何かありました?」
図星をつかれ体が硬くなる。
「やっぱり…お昼からなんか変だなって思ってて…買い出し月島と行ったって聞いたから…」
『リエーフのことすきなの。でも、たまに気持ちがぶれるっていうか、すきっていう感情はないのに…きす…とかされると…やっぱり意識しちゃうっていうか…』
ぽろぽろと溢れる涙を両手で拭うけれど、それはなかなか治らない。覗き込む瞳に視線を上げると安心するような柔らかな笑み。
「じゃあ俺もキスしていいですか?」