第1章 わんことの出会い。
校門前に向かえばデカい影と普通サイズの影2つ。私はその影に声をかけながら近寄った。
『やっぱり待ってた!けーんまー!…とトサカ。』
けんまははゲームから顔を上げ、トサカは嫌そうな顔。
「わざわざ待ってやったのにその言い方はねーだろ。」
『じゃあ待たなくていいよ。けんまと2人で帰るから。いこー!けんまー!』
「じゃあね…クロ、リエーフ。」
私はけんまと一緒に先に歩く。そしてデカブツ2人は文句を言いながらも私達の後ろをついてきた。
「えー?みゆさん俺と帰る約束は?」
不満そうなリエーフに不思議そうなクロ。
「あれ?リエーフじゃねーか。いつもさっさと帰んのに…あらー?もしかして美優さんに惚れちゃいました?」
ほっそい目をさらに細めニヤニヤしてくるクロはほんっっっっとうにうざい。
『クロうっざ…』
「はい!今度デートするんです‼︎」
「へー。今度デートねー……はぁ⁈デート⁈」
予想以上のオーバーリアクション。
クロ、うるさい…
『リエーフ…デートじゃないって言ったよね?』
「美優。デートってどういうこと。おれ、聞いてない。」
けんままで!
いつもはゲームに向けている視線が一直線に私に向いてる⁈
ちょっと!ゲームの画面の中ゲームオーバーになっちゃったよ⁈
なんかいつもより反応早いよ⁉︎
みんなどうした⁈
クロとけんまが私をじっと見る中、リエーフはにこりと一言。
「さっき告白しました‼︎」
ちょっと!りえ----------ふ‼︎‼︎‼︎‼︎
埒があかない。
リエーフはにぱーって笑ってるし、クロはにやにやしてるし、けんまは猫みたいな目で私のことじっと見てるし。
「…で、どういうこと?美優。」
詰めいるようなけんまの口調。これは事情を説明しないと帰れない。
そう感じた私は仕方ないからさっきボトルを洗いに行ったときのことをかいつまんで話した。