第13章 夏合宿4日目。
必要なものを籠に入れていくと、不意に蛍に声をかけられる。
「そういえば…昨日の話。あれ、聞けたりします?」
昨日の話って…身近の誰かに裏切られたり、信用できなくなるってやつか。
『別にいいよ?とりあえず会計済ませよっか?』
必要なものを籠に詰め、さっさと会計をすませると私は蛍を引っ張ってイートインコーナーに進む。そして、蛍にむかってにやりと笑う。
『好きなの選んで!』
「ちょっ!流石に奢ってもらうのは…自分の分くらい払えますって。」
少々戸惑いながら自分の財布を取り出そうとする蛍の手を制止させ、含むように笑う。
『私が奢るなんていつ言った?』
「………は?」
私は笑顔で蛍に話しかける。
『これ、猫又監督のポケットマネーなの。お駄賃込み。これでなんか食べようよ。』
「…いいですね?行きますか。」
蛍はにやりと笑う。
『そういうノリのいいところ好きだわ。で、何食べる?』
「……キ」
『ん?何?蛍』
「ショートケーキ…食べたい。」
しょーと…けーき?
『蛍、ショートケーキ好きなの?』
蛍を見ると、顔を赤くしてそっぽを向く。
「いいじゃないデスか…好きなんだから…」
『意外…蛍可愛いね…』
「188㎝の男に可愛いはないデショ…」
『可愛い。ギャップ萌え。ケーキ食べよ食べよ。』
「…馬鹿にしてます?」
『してないしてない。ほら、ケーキ屋さんあったよー!』
私は蛍の腕を引っ張りケーキ屋さんのショーウインドーに向かった。