第13章 夏合宿4日目。
森然高校から車で10分。大きなショッピングモールに、私たちはたどり着いた。
屋内の駐車場に車を入れた繋心さんは私と蛍を車外に追い出すと早く言って来いと手を振る。
「じゃあお前ら行ってこい。1時間以内でな」
『は?繋心さん行かないんですか⁈』
繋心さんは運転席の座席を倒して寝る体制に入っている。
「連日酒盛りで眠くてなー。じゃあよろしく。 」
…ずるい大人だ。
「行きましょうか、時間ないですし。」
車で寝始めた繋心さんを放って私と蛍は買い物のために入口を通り抜けた。
「今日は何作るんですか?」
『猫又監督にわらび餅、あとはいろんな味の寒天かなぁ…一気に作れるし好きなの選べるし。』
籠を持つと横から奪われる。
「美優さんが籠持ったら僕、来た意味ないデショ?」
『…ごめん』
「そこ謝るとこじゃないと思う…」
『ありがとう…』
私がお礼を言うと、蛍はふいっとそっぽを向くと先を歩き出した。
「早くしないと置いていきますよ?」
『もう…待って!』
少し先から私を見る蛍の後を早足で追いかけると並んで歩き出した。