第1章 わんことの出会い。
…………え?
こいつなに言ってんの?(2回目)
さっきからリエーフが言ってることが意味不明すぎる。
私は出てくる疑問をリエーフに聞いた。
『確認するけど、リエーフと私、今日初めて会ったんだよね?』
「そうですよ?体育館でぶつかったのがはじめてです!」
そうだよね⁈いやいやいや、惚れる瞬間どこにあった⁈
『ね、好きって言うけど私のどこが好きなの?』
そういえばリエーフは私に向かってにかりと笑う。
「俺の腕の中に収まる感じがたまらないっす!」
なんだそりゃ…
「あと、ぶつかったときのびっくりした顔とか、赤くなった顔とか?研磨さんきたときの笑顔とか俺にも向けてほしいなーって思ったし…あとドリンク配ってくれたときの顔とか、試合のスコアつけるときの真面目な顔とか?あと顔と性格のギャップとか?」
かわいーのに怒るとすっげー怖い!なんて笑ってる。なんかよくわかんない。
「ぜーんぶひっくるめて好きです!」
そう言いながらリエーフはにこーっと笑う。
『でも…私、まだリエーフの事全然知らないし…もっとよく知ってから…「じゃあ一緒に出かけません?」
…ん?
『どういうこと?』
「俺のこと知って欲しいんで一緒に出かけましょー?」
いやいや….学校とかでも会う機会はこれからたくさんあるでしょうよ…それなのに一気にそれらを飛び越えてお出かけ…
なんだろう…
何かに似てる…
いくら遠ざけても必死ですり寄ってきてにこにこしてる何か…
あれだ。
昔飼った仔犬に似てるんだ。飼い主に必死にすがりついて甘えてくる感じが犬っぽい。でも今回のわんこは子犬じゃなくて特大級。身長190センチ以上の超大型。
きらきらの瞳に負けてため息まじりに返事をする。
『出かけるくらいならいいけど…』
「やった!デート‼︎」
出かけるのは了承したけどデートじゃないし!必死にデートじゃないと否定するけれど、リエーフは御構い無しとでも言うように嬉しそうにぴょこぴょこ飛び跳ねる。
『ねえリエーフ…話聞いて…』
「なぁ、お前ら。体育館閉めらんねーんだけど…」
『あ、クロごめん。』
突然扉の影から覗いて声をかけてきたクロに少し驚きつつ、私は最後のボトルを手早く洗う。そしてボトルを籠に入れると急いで備品倉庫に向かったのだった。