第9章 追いかけっこ。
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その頃私は第1体育館にいた。がらり、扉を開けると目の前でトス練をするやっくん。
『ねえ、やっくん?』
私に気づいたやっくんは入り口にいた私に駆け寄ってきてくれた。
「美優。体調大丈夫か?」
『うん大丈夫。心配かけてごめんね?』
「無理すんなよー?メシ食ったか?」
そう言いながらやっくんはわしゃわしゃと私の頭を撫でる。
『ふふ、本当やっくんはお母さんみたいだね。』
「んなこと言ってもなんも出ねーぞ。で、どした?」
そう聞くやっくんは不思議そうに私を見る。
『リエーフ探しに来たんだけど…いないみたいだね?』
体育館を見渡してもリエーフはいない。私の声にやっくんはまわりをきょろりと見渡すと、あれ?と小さな声をあげた。
「さっきまでいたのに…あいつ逃げたな⁉︎」
『私探してくるよ。どうせ私、用事あるし。』
「じゃあ…任せていいか?」
『うん。もしまたリエーフ戻ってきたら教えて?』
「…わかった。」
やっくんの歯切れの悪さに少しだけ違和感を覚えたが、私はあえて知らなかったふりをして体育館の外に出た。