第7章 月島蛍の誕生日
『桜、リエーフ君にべったりだったよ。』
818号室から戻ってきた夏乃さんは冷蔵庫からペットボトルを取り出しベッドの縁に座る。
気がついたら出会った頃の夏乃さんの年齢を追い越した。
あのとき、25歳って大人だと思ってた。
でも、いざ自分がその年齢になってみたら、自分の子供っぽさにたまに呆れるくらい。
僕が25歳ってことは夏乃さんもそれだけ年齢を重ねている。
長かった髪の毛は、動きやすいように肩で切り揃えられた。
化粧の仕方や普段のケアの方法も、前から変わってきているのも知ってる。
体系も気になっているらしく食事量を減らしたり運動したりしてるのも知ってる。
とんとん。
肩を叩かれそちらを見れば不思議そうに僕を見る夏乃さん。
『どうしたの?』
夏乃さんはいつでも綺麗なのに。
そう、思いながら僕は夏乃さんの唇を軽く奪った。
『え?ちょっと…』
久しぶりに見た。夏乃さんが顔を赤らめているの。
「ねえ、夏乃…?」
顔を赤らめた夏乃さんの顎をすくい顔じゅうに口付ける。
『何…?』
「今日…寝かせないって言ったら…どうする?」
そう言うと夏乃さんは困ったような顔をする。
『昔と変わっちゃったよ…?体系とか。』
「ねえ、夏乃さん?僕は夏乃さんがいいの。夏乃さんが太ったってしわが増えたって夏乃さんがいいの。」
僕は夏乃さんの頬に手を添え、微笑む。
「夏乃を、抱かせて?」
目を見て言うと夏乃さんは1度目をそらし、そして目を合わせるとにこり、微笑んだ。