第7章 月島蛍の誕生日
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『ちょっと桜!ワガママ言わないの!』
「やだあ!チカちゃんとねるのー!」
食事会の後、灰羽が取っていてくれたホテルに移動した後、それぞれの部屋に移動しようとしたんだけど…
珍しく桜がワガママを言い始めている。
灰羽に捕まって離れないのだ。
どうしようか…
僕と夏乃さんは目を合わせどうしようかと悩む。
そんな雰囲気を感じ取ったのか灰羽が桜に話しかけた。
「ねえ、桜?」
「なに?チカちゃん。」
「俺ね?パパとママを困らせる悪い子は嫌だなー。」
その言葉を聞いた桜は今にも泣き出しそうなくらい落ち込む。
「えー…だってチカちゃんあんまりあえないんだもん…」
「だから、寝る準備が終わったらここにおいで?」
灰羽は桜にキープレートを見せる。
「はちいちはち?」
「そう。お風呂に入って歯磨きして、トイレに行ったら、ママかパパと一緒に818号室においで?」
その言葉を聞いた桜は笑顔で頷き、僕と夏乃さんを引っ張るようにして部屋に向かおうとする。
「ぱぱ!まま!チカちゃんとねるからはやくー!」
『はいはい。』
夏乃さんが桜を連れて行ったところで灰羽が後ろから声をかけてくる。
「今日は桜預かるからたまには2人きりでイチャイチャしなよ。」
「…うるさい……灰羽。」
「あ、これいるー?」
ポンと渡されたのは数枚綴りの避妊具。
「ちょっ!はいばっ!」
「あ、でも夫婦だしいらないかー。」
そう言って灰羽はポケットに避妊具を戻そうとする。
僕はその腕を掴むと灰羽の手から避妊具をひったくるとズボンのポケットに突っ込んだ。