第7章 月島蛍の誕生日
「ツッキー、今日は何月何日?」
桜を抱き抱えた灰羽が僕に問いかける。
スマホで確認すると、9月…27日……あれ?
『蛍くん、誕生日おめでとう。』
そうか、今日は…
「僕の…誕生日。」
「月島…もしかして忘れてた?」
「本当だ…ツッキー、お前マジで気づいてなかったのか?」
「はい…」
そう言うと、夏乃さんは「そんなことだろうと思った」と呟き、袋を渡してきた。
『誕生日プレゼント。似合うといいけど。』
「開けても…?」
『もちろん。』
僕は袋のリボンを解くと、中を見る。
「ネクタイ…とネクタイピン。」
『いつも身につけていられるものがいいかな…って。』
ネクタイはシックなスモーキーブルー。
下の方に白の桜が刺繍してある。
ネクタイピンはシンプルなプレートにブルーの石。
ネクタイによく似合う。
「夏乃さん、ありがとう…」
『いーえ?』
笑った顔が愛しくて唇にキスしようとそっと顎に指を添えた。