第1章 報告〜烏野の場合〜
ケリをつけるため
気持ちを整理するために切り出した告白。
一度は気持ちに蓋をしたはずだったんだ。
それでもやっぱり忘れられなかった。
だから大学は夏乃さんが行っていた大学に行った。
卒業してからも同じ編集の道を歩いた。
同業だから会う機会もあった。
夏乃さんは前と変わらない笑顔で話しかけてくれた。
そう、
烏野バレー部にきてくれてた時と変わらない。
みんなに向けていた笑顔を
俺に向けてくれていた。
勝ち目がないことなんて5年前からわかっていたんだ。
でも心の奥底で
まだ気持ちは燻っていた。
あの人の優しさを
忘れられないでいたんだ。