第1章 報告〜烏野の場合〜
追加のビールとつまみが届くと俺たちはちびちび酒を飲みながら話をした。
自分たちの話や、後輩たちの『今』の話。
そして…
「月島…すげえよな…
俺たち追い越して父親になるんだよな…」
旭の声に俺は少し動揺した。
その動揺に大地は気づいたようだ。
「なぁスガ…お前さ…まだ椎名さん好きなんだろ。」
「なーに言ってんだよ大地。そんなわけ「あるだろ。」
「なんでわかっちゃうかなぁ。大地は。
久しぶりに会ったから湿っぽい空気にはしたくないのに…」
俺はピッチャーのビールをまた一気に煽る。
ピッチャーを置くと長く息を吐く。
「大学行って他の女と付き合ったりもした。
付き合うってことでそれなりのこともした。
でもなんでかな…
春高予選の前に振られた時のことがずっと忘れられないんだ…
5年前のことがずっと…」
そう、あの時の夕日が
忘れられない。