【イケメン戦国】 色に出りけりわが恋は <R18>
第4章 ~情交~
激しく落ちる雨が地面で跳ねる。
この分では暫く止みそうにない。日が暮れるまでに帰れるだろうか。
(佐助君・・・お帰りって出迎えたかったのに)
俯く視線の先で、足袋の先が少しずつ濡れていく。
いっそのこと、この雨の中走ってしまおうか?
辺りに視線を巡らせると、傘をさした男が一人、雨の中歩いてくる。
(私も傘、持ってくればよかったな)
その姿をぼんやりと眺めていると、通り過ぎる直前で男が足を止め、こちらに向き直る。
???「傘がなくてお困りですか」
「え・・・」
この声・・・
いや、何故気が付かなかったのだろう、この着物・・・
「佐助君っ!」
持ち上げた傘の下から見えたのは、愛しい恋人の顔だった。
佐助「なおさん、ただいま」
傘を閉じると、軒下に入る。
「なんで・・・」
驚いた様子のなおに手を伸ばし、
佐助「急いで帰って来たんだ。早く会いたくて」
肩の上に流れる髪を耳にかけ、そこにそっと口づけを落とした。
佐助「雨が降りそうだったから、迎えに来たんだ」
「でも、その恰好・・・」
いつもと違う着流し姿。
自分が縫い上げたものとはいえ、
佐助「似合う?」
「う・・・似合いすぎて、その・・・」
ドキドキしてしまう。
“城下を歩くのに、忍装束は変だから”
いつか城下デートする日のためにと縫っていた着物。やっと出来上がったものを、佐助の部屋に届けておいた。
「カッコイイよ、すごく」
思わず照れるなおの頬に手を添え、
佐助「ありがとう」
佐助の唇が、なおの柔らかな唇に押し当てられる。
佐助「さて、信玄様のお使いをさっさと済ませて、帰ろうか」
「うん」
広げた傘の下、佐助がなおの肩を抱き、寄り添うようにして歩く。
雨のおかげで道を歩く人の姿は自分たち以外に殆どなく、
佐助「雨の日デートは利点がいっぱいだな」
大きな傘に隠れて、こちらを見上げるなおの頬に軽く音を立ててキスをした。