【イケメン戦国】 色に出りけりわが恋は <R18>
第4章 ~情交~
信玄「なお、少しいいか?」
なおがそっと襖を開けると、
信玄「忙しかったか?」
色香の漂う微笑を湛えた信玄の顔が覗く。
「いいえ、今ちょうど終わったところなので」
つられて微笑みながら、部屋へと招き入れる。
信玄「それは・・・?」
「あ、その・・・佐助君に」
裁縫道具を片づけつつ、なおが照れたように答える。
信玄「良い色だ。似合いそうだな」
嬉しそうになおが微笑む。
信玄「今日は一つ、お前に相談があってな」
腰を下ろしながらのんびりと話し始める。
信玄「ここの所、ゆっくりなおと話す時間もなく、茶屋に出かけることも減っただろう?それがつまらなくてな」
「あ・・・」
申し訳なさそうになおが俯く。
口元を緩めながら、
信玄「責めているわけではないよ」
優しい視線を向ける。
信玄「俺はお前が気に入っているから、味方でいたいと思っている。だから、交換条件を」
その言葉になおが顔を上げる。
信玄「俺と、この先も茶飲み友達でいてくれるか?俺にとっては、貴重な時間なんだ」
「それは勿論」
慌てて頷く。
避けているつもりはなかったのだ。
ただ、お互いに離れた場所に居ても、連絡の取りようがない状況。もし、自分が不在の間に彼が帰ってきたら・・・
それを思うと、外出を控え城で過ごすことが多くなり、最近は信玄の誘いも断ってしまっていた。
信玄「では、約束だ」
なおの頭を優しく撫で、麗しい笑みを浮かべる。
信玄「ところで、早速“友人”に頼みがあるのだが・・・」
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翌日。
風呂敷包みを抱え、なおは城下をのんびり歩く。
(この通りだよね・・・)
いつも城下を一人で歩く時は表通りのみで、知らない路地に入ることはなかった。
(行ったことが無い場所はいつも信玄様が一緒だったから・・・)
きょろきょろと辺りを見回しながら足を進める。
ポツリ
頬に当たる、一粒の滴。
見上げると、空を覆う灰色の雲。
「あぁ・・・運が悪い」
パラパラと落ちる雨粒が次第に増え、なおは慌てて近場の軒先に避難する。
すぐ止むだろうか。
困り顔で、暗い空を見上げる。