【イケメン戦国】 色に出りけりわが恋は <R18>
第3章 ~紅唇~
佐助「どうやら嵌められたようだ」
謙信に、それとも信玄・・・否、両方だろう。
「どういうこと?開かないって」
暗がりの中、なおが近づいて来る気配。
佐助「いや、俺が悪いんだ」
なおの方へと体を向けると、
佐助「ごめんなおさん、まだ目が順応していない上に、眼鏡がなくて、殆ど見えないんだ」
「そうみたいだね」
なおが可笑しそうにそう言いながら
「私、こっちだよ」
佐助の体をくるりと回す。
入り口も、窓も、中からは開かないことを確認し、佐助がため息をつく。
佐助「ごめんなおさん、実は・・・」
言いかけて、口を噤む。
彼らの思惑通りに事を進めるのは、やや気が引ける。
引けるのだが、この好機を無下にする必要も・・・
「何で閉じ込められたのかな。私、謙信様のお使いでここへ来たんだけど、佐助君は?」
なおがこちらに顔を向けた、ような気がする。
佐助「俺は・・・」
ごくりと唾を飲み込み、意を決して、
佐助「恋のスキルアップを図るために」
「・・・え?」
一歩、また一歩と慎重に、なおのいるであろう方向に進む。
「わっ! 佐助君、見えてる?」
声がした後、なおの手が佐助の腕をそっと掴む。
佐助「あまり見えてない」
その手を頼りに、佐助がなおの肩に置かれた。
「さ、佐助く・・・」
佐助「君の顔がはっきり見える距離まで、近づいていいかな」
その手にそっと力を込め、ゆっくり顔を近付ける。
ぼやける視界の中、なおの顔が徐々に見え、
「ち、近い・・・っ」
なおの顔まで、あと数センチ。
佐助「なおさん」
頬を両手で優しく包み、上向かせる。
上から見下ろす佐助の顔に、胸が破裂しそうな程騒ぐ。
佐助「なおさん、顔、赤い?」
「え、 み、見えるの?」
佐助「見えないけど、熱いから」
「だって・・・っ」
顔を僅かに傾けた佐助の唇が、なおの柔らかな唇にそっと触れた。
(うわ・・・!!)
目を閉じるのも忘れ、佐助の温もりをただ受け止めた。