【R18 ハイキュー!!】幼なじみ 及川徹との場合
第1章 近すぎて遠い存在
「で、ちょっと考えさせて、とか言っちゃったわけだ」
「……」
「図星……へぇ、誰?」
「‥‥誰でもいいじゃん、そんなの」
「ま、誰でもいいけど……でも、誰? 気になるじゃん、おまえの事好きな男って」
「……なんで?」
「顔はまあ可愛いけど、こんな性格きつくて愛想ないヤツがどうしていいのかとか思って」
「……」
軽いジャブのような辛口セリフ。
幼なじみだからこそ言える素直な本音。
「ま、でも、おまえにカレシできるならその方が絶対いいし、俺的には賛成だけど?」
「別に徹に賛成してもらわなきゃいけない理由、ないんだけど?」
「だって幼なじみだし」
「全然関係ないし」
うそ。
関係ある。
徹は、私にカレシが出来た方が嬉しい。
きっと中学の時のこと、ずっと気にしてる。
自分のせいだと今でも罪悪感を感じてるはず。
根は優しいから、徹……
「おいっ、なにチンタラしてんだっ!」
体育館の開放扉からぬっと背の高い姿が見えたと思ったら、ぎろりと睨まれた。
「げっ、岩ちゃん」
「部活始まンぞっ、グズ川っ!」
ビュンッとバレーボールがすごい勢いで飛んでくる。
「ちょっと、危ないじゃん! 頭に当たったらどうすんのさ!」
片手で起用に受け止めた徹が睨むと、
「はぁ????」
燃え盛るような怒りの視線で睨まれる。
「……徹、早く行きなよ、また怒られるよ……」
「……はい……これ、サンキュな」
ピンクの封筒をヒラヒラさせながら体育館へ入っていく徹のお尻を一発蹴った岩泉君がふとこっちを見た。
「大丈夫か?」
「……うん」
「じゃ、あとでな」
徹に聞こえない程度の小さい声。
徹に対する態度とは正反対の、こっちを気づかうような声。
そう、もう返事しなきゃいけない。
じゃなきゃ、前に進めない。