第6章 運命の深い渦
そのまま、
崩れるように上半身から脱力した彼の身体を、
しっかり抱き留め、身体を密着させた。
「...翔ちゃん..好きだよ..」
「...雅紀..」
俺は、微笑みながら俺に向けた彼の顔に、
静かに唇を落とした。
『声』は聞こえないと、
雅紀が言った露天風呂での情事のあと、
俺たちは、揃って夕食に出掛けた。
案内されたその場所は、
谷川のせせらぎがBGMの料亭風で、
それぞれが個室になっているので、
他の客とも顔を合わせることはない。
「すごいね…ザ・和食って感じ」
雅紀も落ち着いた雰囲気に、逆にキョロキョロしている。
俺は、早速運ばれた来た『船盛』に感嘆の声を上げる。
「うおー!すげー‼うまそ~」
「翔ちゃんの好きな貝も、いっぱいだね♪」
自分のことのように嬉しそうな雅紀に、
俺はちょっと、キュンとする。
俺は、気づかれると恥ずかしいので、
わざとふざけて、
「こんなに、食えっかな~」
と腹を撫でて見せた。
カニが山盛りの大きな器を持ってきた仲居さんは、
「カニと船盛は食べ放題ですので、欲しいものを言ってくださいね」
と言った。
…ヤバい…胸、躍る…