第33章 Discuss〜一歩踏み出すために〜
智が友達との飲みの席に、俺を呼んでくれたのは正直嬉しい…
もともと俺と違って、そういう機会は格段に少ない部類の人間だから。
そんな風に出掛けてくれるのは好ましいことだろうけど。
…………だけどさ。
あの人、酔うとさ………
俺の見てないところでやってくれるならまだしも…
目の前で見せられるとなぁ〜
心臓に悪いんだよな(;´д`)
そんな若干のモヤモヤを連れて……
マネの運転する車は、ウイークデーの代官山の街に滑り込む。
窓から見ると、まあまあの人たちが楽し気に歩いていて…
「人、多いな…」
「お店の裏に停めますね~。そのまま裏から入れるみたいですから…」
へ~…何でそんなこと知ってんだよ!?
そんな顔してたんだろうな。
「大野さんから、連絡貰ったんで」
だって。
「ふぅ〜ん…」
なんかいつも以上に…
いや、見たことないレベルで手回しいいじゃん(-ω-)/
俺は、らしくない智の行動に解せない気持ちを顔全面に出したまま、車を降りた。
表通りに比べて、人通りも少なく、呼び鈴を押すと直ぐに店の人が顔を出してくれ、誰に見られることも無く、中に滑り込んだ。
「こちらです…どうぞ」
「ありがとうございます」
薄暗い細い廊下を歩いていく。
そう言えば…智、俺のことはご友人になんて話してあるんだろう?
まさか、結婚してるなんて言うはずないから…
メンバーで暇だったヤツ…くらいなポジションでいいのか?
しまったな~…
打合せしてないじゃん。
まあ、様子を見ながら合わせればいいか。
「失礼します…お連れ様、お見えになりました」