第33章 Discuss〜一歩踏み出すために〜
【翔side】
最近、智の様子がおかしい…
いや、正確には変に明るい…
無理してるっていう感じとも違うし。
しいていうなら『吹っ切った』?
新潟の旅行で俺が投げた石…
それは彼の中で大きな波紋を広げていき、予想していたとはいえ、本当にこれでよかったのかな?
そう戸惑う日々だった。
それが……
「翔ちゃん、今夜は何時に終わりそう~?」
「ああ、一応21時になってたけど…」
「9時か~…巻けそう??」
「どうかな~?まあスチール撮影だしね…いけないことも無いけど…なんで?」
「うん…今日さ、沖縄の友達が用事でこっちに出てくるって言うから、一緒にご飯でも食べたいな…って思って」
沖縄の友達って…
船長さんかな?
他に思い当たる人なんてないし…
それに…
「だったら、智が一人でもいい…つ~か、俺、いる??」
「いるよ!!お世話になってる人だから、翔ちゃんにも紹介したいの!」
あっそ…(^^;
まあ、断る理由もないし…
「じゃあ、先に智だけ先に行ってたら?終わり次第合流するっていうのはどう?」
「うん……まあいっか~…それでいいよ!」
「じゃ、店決まったらLINEして」
「うん!分かった」
話がまとまると、智はキッチンに立ち、鼻歌を歌いながら食器を食洗器に入れ始めた。
そんな彼の横顔を見ながら、俺はまた新聞へと目を落とす。
だけど、記事の内容が頭の中に入ってこない。
……あいつ…いったい…
何考えてるんだろ?