第32章 turning point~転機~
【 翔side 】
車の中も、新幹線の中も、
智は黙っている…
黙っているだけじゃない…
目を閉じて、きゅっと口を結んだ姿は、
全身から、話しかけるな、っていうオーラを出しまくって…俺が取り付く島も見せてくれない。
………まあ、仕方ないんだけど…
智も俺の話を理解し、考える時間が必要だし。
「お弁当でも買っていって中で食べようか?」
「いらない」
「でも…ちょうど夕飯の時間だしさ」
「いらない。翔ちゃんだけ食べれば?」
「……」
智はこうなると頑固で、絶対に譲らないところがあるから…
グリーン車のシートに並んで座った。
窓側に座った智は、直ぐに日よけのシェードを下して、シートを倒した。
……はあ~(´-`*)
話しかけるな!…ってか~?
焦っても仕方ない。
時間をかけて話し合っていくべきことだし、
こんなところで話すべき話題でもないから…
「お~、旨そ♡いただきまぁ~す♪」
智はいらないと言ったけど、
新潟駅で、店員さんにお勧めされた弁当を2つ買っていた。
目を閉じている智が眠っていないのは明らかだ。
「おお~、何これ~?
ああ、頭を取ってるんだ~…なるほどね~
そういう事か…そんで『いくら』ね~…」
「……」
「あ、旨んまっ!これ、鱒マスかあ~
鮭みたいだな~
いくら、プチプチだな、やっぱ♪」
「……ねえ…わざとやってるよね?」
「ええ~?寝てなかったんだ~?」
「……(。-`ω-)」