第1章 プロローグ
俺は、正直焦った。
潤のこんな姿は、益々エスカレートし、
端から見ても、
飼い主に尻尾を振る『子犬』から、
彼氏にぞっこんの『恋人』になっていた。
潤のことは、嫌いじゃない。
ただ、
彼が俺を好きだと言ってくれる、
それと同じ熱量の思いが俺にあるか、
といえば、
.....分からない...。
というのが、本音だ。
彼の気持ちを、
うれしいと思う気持ちの裏で、
『これでいいのか?』っていう、形をなさない不安が、俺の中に、影を落としていた。
そして、今日も、
『翔くん、今日、翔くんのとこ、行ってもいい?』
と、メールが入っていて、
俺は、胸のモヤモヤに目を閉じて、
『いいよ。待ってる』と短い返信をした。